導入事例

MENTAT®が変える精神科電子カルテ分析の常識

MENTATを導入しておよそ2年になる総合心療センターひながは、地域との連携を大切にし、精神科救急医療に力を入れる精神科病院です。
総合心療センターひながに勤めて23年目になる精神科医師の長田様、デイケア部門の運営全般を任されている南出様、そして、薬剤課のリーダー職を務められている和田様の3名に、MENTATに対する印象や具体的な活用事例などについてインタビューを行いました。

総合心療センターひなが精神科医師 長田様



MENTATの導入に対しては、長田様から理事長に直訴してMENTATの導入が決まったそうです。医師の立場からMENTATをどのように活用しているのか聞いてみました。

MENTATの第一印象は、どのようなものでしたか?

「ある飲食店がAIで来客数を伸ばしたというニュースがあり、元々AI技術には興味がありました。予測分析によって、病院も入院数を増やしたら経営的に助かるのではないかと思っていました。初めてMENTATについての説明を聞いたのは、2018年頃だったと思いますが、当時は、まだ人間の方が精度は高く、まだまだ使いものにならないだろう、という認識でした。」


では、MENTATへの期待はどこにありましたか?

「精神科電子カルテの記事中のテキストデータを抽出して、患者さんの入院してきた経緯や過去の情報も含め、一気に簡単に把握できること、また、複数のデータを他の業務に絡めて分析ができてしまうことなどに期待がありました。

ただ、実際にMENTATが導入されて、MENTATが業務にどう役に立つのかについて、周囲の理解を得るのが難しいと感じています。自分はMENTATで分析されたデータで、様々な分析が行いやすくなっており、病院収益にも貢献しているところがあると思っていますが、その点について理解を得るのは簡単ではないです。」

MENTATはどのような時に活用していますか?

「精神科救急病棟で退院後3ヵ月未満の再入院患者さんの特徴の分析をMENTATによるデータ分析を使って行いました。3ヵ月未満の早期再入院を避けるためには、カンファレンスを行い、対策を考えます。全ての退院患者さんについて対策を議論することは効率的ではないので、ハイリスクの患者さんにフォーカスして実施しています。この患者抽出をMENTATのデータ分析でできるのは助かっています。

 他には、電子カルテからMENTATへのリンクがあって、そこから処方推移の画面を見て、該当患者さんが過去にどんな薬を使っていたのかを確認しています。また、ベンチマークの画面も個人的に興味があって見ています。入院患者数と入院日数は、病床稼働率に関係しますので、ベンチマークができるのは便利だと思っています。」


総合心療センターひながデイケア・リハビリ部門 看護師 南出様

ひながに勤務して33年になるデイケア部門の運営全般を任されている看護師の副部長の南出様。勤務後の最初のミッションは、他部署との連携強化とデイケア組織の見直しということだったそうです。

「MENTATへの第一印象は画期的だと思いました。今までデータを取るのが大変ですし、正確かなんてわからないです。でも、MENTATであれば簡単にできるのがすごいと感じました。精神科は客観的に何かを見るのが難しい領域です。人同士のコミュニケーションも大事ですけど、経験によるものが多く、個人間でばらつきが出てしまいます。そのため、MENTATを活用すれば、個の主観での判断を避けることができます。」


MENTATをどんな時に活用していますか?

「朝の申し送りの時に、患者さんの情報をMENTATで見ています。デイケアのスタッフは、多職種で構成されており、薬剤が変更になったなどの情報は、デイケアに十分には流れてこないこともあり、患者さんに変化があった場合などは自分たちでMENTATの処方推移の画面を見ながら、”やっぱり、この患者さんは、薬剤が変更になったんだね”などの会話をデイケアのスタッフ間で行い、自分達から情報を取りに行くことを習慣にしています。

 カンファレンスの時は、電子カルテとMENTATの画面の両方を開いています。求める情報はそれぞれで異なります。電子カルテでもパッパッと情報のある画面を開くことができる人は多くなく、電子カルテの方がクリックするところが多いと思います。電子カルテからMENTATへのリンクを開いて確認する方が動作は間違いなく早いです。」

MENTATに期待するところは?

「電子カルテの機能でも外来部門は弱いです。だからこそ、MENTATが外来部門を補うものになると嬉しく、デイケアの利用者数や身体症状の管理などがMENTATでできると良いと思っています。

MENTATには良いところがたくさんありますが、まだ使い切れていないところも多い気がします。一番良いイメージはMENTATでの情報が職種に関係なく、全部署が一人の患者さんを支えるために必要なツールとして機能できる事だと思います。また、「使い方を知らない」人も多いと感じますので、教え合える機会や時間を取ることも重要だと思っています。MENTATがバージョンアップしたという情報を知った時は、朝の10分間を「育成」としての時間とし、私が分かる範囲でスタッフに教えています。

MENTATを見る習慣ができれば、必要な情報を時系列で得ることが出来て、スタッフも一連の流れの中で得た情報を元に「計画」「ケア」「支援」が立てやすくなり、医療従事者にとっては便利なはずだと思いますので、今後は「外来・デイケア・訪問看護」のMENTATの充実に期待したいです。」


総合心療センターひなが薬剤課 薬剤師 和田様

MENTAT委員会取りまとめ役も任されている和田様。薬剤師の立場ではMENTATをどのように活用しているのかについてインタビューしました。

MENTATへの第一印象は?

「学会会場のブースで初めてMENTATの事を知りました。電子カルテデータの分析をできると聞いて、驚いたことをはっきりと覚えています。」

MENTATをどのような時に活用していますか?

「私も含め、薬剤師が一番活用しているのは、処方推移画面だと思います。クロザピンの導入を検討する際や、症例レポートを書く際にも、過去の処方履歴が1画面で確認出来るので、活用しています。電子カルテでも確認はできますが、長い期間を確認するには時間がかかります。MENTATではワンクリックで見たい情報が見えるため、情報の把握が早くなったと感じています。ただ、患者さんの暴力や不眠、拒薬傾向などはMENTATでは「有」か「無」だけの表示なので、この点を確認する際には電子カルテの確認が必要な場合もあります。

 病棟・病床管理の画面の空床数なども参考に閲覧することはありますが、閲覧頻度は、処方推移と詳細情報の画面が圧倒的に高いです。 また、MENTATへのアクセス方法は、電子カルテのリンクから直接、患者情報を確認することが多いです。

MENTATが使用できなくなったら、どうなりますか?

「私自身は、臨床研究のデータ収集や分析にMENTATを活用しているので、発表予定の変更や、研究自体を先延ばしするかもしれません。MENTATは電子カルテと違い、業務上に必要不可欠なツールではありませんが、限られた時間の中で効率的に業務を行うには有用なツールだと考えています。カンファレンス前に気になる患者の過去から現在までの治療経過をざっと確認するなど、補助的に活用していけば、もっとうまく有効活用できるのではないかと感じています。」

今回、医師、看護師(デイケア)、薬剤師の立場からMENTATを有効活用していく上での貴重なご意見をいただきました。MENTATの価値を院内に広げるための様々な取り組みや工夫は、これからMENTATを活用していこうとするご施設でも、同様の活用法を試すことができると感じました。これまで以上にMENTATが精神医療に貢献できるようにさらなる新機能等の開発に取り組んで参ります。