MENTAT®で高まった患者・家族・
スタッフの満足度
~最新技術による時間節約・情報共有がもたらしたもの~
MENTAT®の開発段階から携わり、
現場の声や思いを反映することに大きく寄与してきた藤田院長。
その関わってきた背景には様々な経験があったと言います。
「精神科の患者さんは10年20年、入退院を繰り返している患者さんが多いので、膨大なカルテ量になるわけです。そうなると過去の紙カルテはもちろん、電子カルテでも何百ページもあるので、それだけの量を読むことができるかといったらまず読めません。
しかも長期間となると、主治医も変わります。当然、引き継ぎの際には箇条書きレベルのサマリーがありますが、そこには前任の主治医が大切だと思ったことしか残されていません。そのため、残念ながら治療をしていくために大事なことが抜けてしまっていることも少なくありません。
実際に、私自身、長く見てきた患者さんでも大切な情報を見落としていたケースがあります。その患者さんには遠方に親族がいたのですが、それは10年以上前にソーシャルワーカーがほんの少しだけ書いていたモノで、主治医である自分も気づいていなかったのです。
それにMENTATは気づいてくれる。そして後にその人が治療のキーパーソンになったのです」
いち早くMENTAT®を取り入れた桶狭間病院では、
すでに数年間にわたって活用をしてきました。
病院内ではどのような変化が生まれたと感じているのでしょうか?
「チーム医療が重要視される中で、各職種の人たちがカルテを全部読まなくても、カルテの中にある問題点だけが抽出されたものを読むことができます。それだけでもすごい時間節約ですよね。本来ならば人間が全てアナログでやらなければいけないことを機械がやってくれるので本質的な医療とか看護の部分に集中できます。
今までカルテを全部読まないといけないのにできなくて、氷山の一角でやってきた治療が、ほぼ全て、しかもきちっとしたデータで知ることができ、隠れていた部分も含めて治療に反映できることがスタッフにとってストレスが少なくなっている部分だと感じています。
スタッフに余裕が生まれることで、昔に比べれば、ケンカも減るというか、お互いに笑顔で居られる環境にはなっているという印象はあります」
MENTAT®だけでなくクリニカルパスなど、新しい技術やシステムを積極的に取り入れてきたことは、患者さんやそのご家族にとってもメリットがあったと藤田院長は感じているそうです。
「桶狭間病院では、入院日にそれぞれの治療の方向性を決め、2週間後、4週間後、7週間後に多職種カンファレンスで確認して、早期退院に導いていくというシステムなのですが、それぞれが入院中に何をするかということを最初に決めるにあたって過去の医療情報から割り出したMENTATの問題抽出能力が役立ちます。
また、入院する時点で、スタッフが患者さんと初対面というケースもあります。それでは、やるべき課題を挙げることはまず難しく、方向性を話し合うことすらできません。MENTATがあれば、そういうことはなくなりますし、患者さんごとにカスタマイズされた治療を行うことがきるわけです。
そうすると、患者さん自身も家族もちゃんと診てもらっているというようにも感じます。実際にアンケートを取るとMENTATを入れてからの方が退院時の家族や患者さんの満足度が高くなりました」
看護部長として、多職種カンファレンスを中心に
MENTAT®を日々活用しているという野中さん。
導入したことによって変わったのは野中さん自身だったと振り返ります。
「MENTATを導入する前は、それぞれが自分の職種としてのやるべきことだけに目が行ってしまうところがありました。わかりやすい例が拒薬傾向のある患者さんへの対応です。
カルテを見て、患者さんに拒薬傾向があるということを知ると、看護の立場から、拒薬にどう向き合っていくかと考えます。具体的には、今の薬を飲んでもらうためにはどうしたらいいか?となるのです。
しかし、MENTATを入れたことで、看護以外の情報も入ってくるようになりました。そこで視野が広がったのです。その結果『薬を飲まない』という問題点だけでなく、『なぜ薬を飲まないのか?』という背景も考えるようになりました。
例えば、薬の剤型のこと。単に大きい錠剤が苦手なだけかもしれない。それなら薬剤師さんと連携して他の剤型を試してみる。これも情報が共有できているからこそできることです。また、入院中は飲んでいても退院したらまた飲まないということもありますが、そういうときは、その患者さんが普段どういう状況で薬を飲んでいるのかを外での生活を知っている人に聞きます。その結果、実は退院後にすぐ就労したために仕事中のランチで周りの目が気になるので薬を飲まないということがわかれば、朝と夜だけ飲めばいい薬に変えるという発想にも繋がります。
MENTATを導入してからは拒薬をなくすという点ではゴールは同じですが、問題をみつけるのではなく、どうリカバリーするかという考え方に変わったのです。
今の精神科医療では早期退院が一つの目的になっていますが、その先にある患者さんの退院後、社会参加していくことも考えて、再入院させないことを考えなければいけません。そのためには退院後も含めて、いろいろな職種が患者さんのことを理解しないといけないし、協力して再入院を未然に防ぐ努力が必要です。
MENTATのおかげで訪問看護や薬剤師といった病院外での情報も含めて知ることができるので、退院後も患者さんの状態を把握し続けることができ、予防にも繋がるのです。
実際、ケースワーカー、地域、訪問看護、行政、いろいろなところと情報面で連携ができると『こういうことならフォローできますよ』という情報が入ってくるようになりました。
全員が同じ問題を共有することでそれぞれの知見から考えることができるからこそ解決に繋げることができます。MENTATは、その多くの知見をつなげるハブの役割になるソリューションだと感じています」